ソフトウェア要求抽出会議への異分野協調作業支援ツールの適用
逵 明憲 (0451076)
ソフトウェア開発における最初の工程である要求抽出過程では,ステークホルダ(本論文では,顧客と要求分析者)間の専門知識が大きく異なることが多く,顧客から要求分析者に明示的に要求を伝達できないことが問題となる.また顧客が潜在的にもっている要求は非常に抽出が困難であるという問題もある.要求抽出における2つの問題は,要求に曖昧さと不足を生じさせるため,要求に欠陥が生じてしまう.本研究の目的は要求抽出を困難にしている曖昧な要求と潜在的な要求を含む顧客要求を要求分析者に抽出させることである.本論文では異分野協調作業支援環境EVIDII (an Environment for VIsualizing Differences of Individual Impressions) を要求抽出会議へ適用した実験について述べる.実験の結果,EVIDIIを用いた会議では,明示的な要求に対する網羅性の向上と,議論する問題に対する認識の違いを明示化し,潜在的な要求に対する発見機会の増加により,抽出すべき要求の欠落が減少することが示された.