汎用的な構造色レンダリング手法の開発
佐伯昌彦 (0451061)
自然界の色は色素色と構造色に大別することができる。色素色は色素による発色
であるのに対し、構造色は波長以下の微細構造が生む光路差に起因する光学現象
による発色である。この構造色は視点位置や照明条件により見え方が大きく変化
するという特徴をもつため、構造色をコンピュータグラフィクスで表現すること
は容易ではない。先行研究では、特定の対象に特化したモデル化をおこなうこと
で構造色を表現しているため、汎用的に取り扱う手法は確立されていない。また
構造色の特徴ゆえに、観測者は任意の視点・光源位置から観察できることが望ま
しいと考えられ、これを実現するには実時間でのレンダリングが求められる。
そこで実時間での描画を想定として、構造色の汎用的なレンダリング手法を提案
する。本手法では複雑な振る舞いを見せる構造色を、光路差により表現すること
で一元的な取り扱いを実現し、さらに光路差をテクスチャにより表現することで
汎用性を持たせ実時間での描画を可能にしている。本発表では、本手法およびい
くつかの構造色を対象に実装例を紹介し、併せて描画結果のデモンストレーショ
ンをおこなう。