コンピュータネットワークの重要性が高まる中,管理者は管理するネットワークの利用状況を把握している必要性が高まってきている. ネットワーク環境は,日々広帯域化し,その利用目的も多様化している. 広帯域化するネットワークに対応するため,トラフィックを間引きながら取得する計測手法(以下,サンプリング計測という)が用いられている. また,多様化するネットワークトラフィックをより精度良く解析するために,パターンマッチング手法を利用するネットワークトラフィック解析手法が用いられている.
コンピュータネットワークの周辺技術が高まる中,広帯域下においても,ネットワークトラフィックを精度良く解析したいという要求がある.そのような環境下でトラフィックの傾向を把握するために,先に述べた手法を組み合わせて利用するような状況が想定される.
本発表ではまず,広帯域環境下においてパターンマッチング手法によるトラフィック解析をする際の限界を実験的に示し,サンプリング計測と組み合わせて利用する必要性を示す. しかし,先に述べた技術は,一般的におのおの独立して用いられることが多く,組み合わせて利用する際に発生する問題点は明らかになっているとは言い難いのが現状である. そこで,サンプリング計測とパターンマッチング手法によるトラフィック解析を組み合わせて使う際の問題点を洗い出すための実験,結果およびその考察に関して述べる. そして,洗い出された問題に対して,サンプリング計測データに基づき,正確にネットワークトラフィック解析を行える手法構築に関して述べ,実験的にそれらが有効であることを示す.