小脳プルキンエ細胞の活動における登上線維入力の効果

小林 悠一(0451056)


発表梗概

小脳は、様々な部位から入力を受け、 運動制御、運動学習などの機能を実現しているが、 その出力はプルキンエ細胞という1種類の細胞からのみ 出力される。 このプルキンエ細胞は、 平行線維、登上線維という2系統の入力を主に受けて 活動電位(スパイク)を発生することが知られている。

この2つの入力によって発生したスパイクは、 波形にによって入力に対応する2種類に判別することができ、 それぞれ、平行線維由来で高発火頻度 であるものを単純スパイク、 登上線維由来で非常に低い発火頻度である ものを複雑スパイクと呼ぶ。

本稿では、特に複雑スパイクの発生が単純スパイクの発火系列に どのような影響を与えるのかについて、 トグルスイッチ仮説の検証と 複雑スパイク発火の時系列解析を行った。 その結果、今回用いた覚醒状態のサルで取られたデータでは、 トグルスイッチ仮説に否定的な結果となった。