モンテカルロシミュレーションを用いた完全データ収集ピンホールSPECTの性能評価
久保 敦子 (0451051)
本研究では、ピンホールSPECT撮像において、放射線の挙動を模擬するモンテカルロシミュレータであるGATEを用いて、その有用性と完全データ収集ピンホールSPECTシステムを評価する。GATEがどれだけ実際の系を模擬できるか調べるために面線源を用いてシミュレーションと実験を行い、エネルギースペクトラム、感度、空間プロファイルを実験とシミュレーションで比較した。両者の良好な一致により、GATEがピンホールSPECTの高い模擬能力を持つことを示した。また、Tuyの完全データ収集条件を満たす2軌道収集システムの最適な傾斜軌道の組み合わせを求めるために、GATEを用いてシミュレーションを行った。2つの異なる幾何条件を持つ同形状の線源を撮像したところ、再構成画像の均一性が最も高い傾斜軌道の組み合わせは、両線源とも60度と90度であった。しかし両線源間では解像度の低下の仕方に違いがみられ、同形状の線源でも幾何条件によっては異なる最適条件である可能性が示された。ピンホールSPECT撮像では高空間分解能かつ、高い定量性が求められるため、撮像の最適化は非常に重要であり、本手法を用いることによりこれが可能であることが示された。