危険判断推定のためのハザードの依存関係分析とドライバ教育システムの提案

加藤 理人 (0451038)


 近年,ITS分野では,ドライバの運転行動を支援する白線追従運転や車々間距離警告などの予防安全技術の研究・開発が進められており,交通事故の低減が期待されている.しかしながら,実際の自動車交通事故の多くはヒューマンエラーに起因しており,誤った危険判断(思い込み等)が自動車交通事故の大きな要因となっている.故に,ITS分野においてはこのような誤った危険判断に対する警告(=危険警告)に関する支援技術が重要な課題となっている.
 危険警告を行うためには,各ドライバの危険判断推定が重要となる.実際の交通状況を考えると,ドライバは時々刻々と変化する交通状況の中で複数のハザードを総合的に判断して危険判断を行っていると考えられる.すなわち,ハザード間には依存関係が存在し,この依存関係に基づいて危険判断を行っていると考えられ,各ドライバの危険判断推定にはハザードの依存関係を用いることが有用であると考えられる.そこで,各ドライバに適切な警告を行うために各ドライバの危険判断推定を行い,ハザードの依存関係分析を行った.
 本発表では,ハザードの依存関係を分析するために行った危険判断実験や危険判断データの収集,ハザードの依存関係分析に用いる関連利得比の定義,ならびに関連利得比を用いたハザードの依存関係分析,ハザードの依存関係分析における関連利得比の有効性,ドライバ教育システムを構築するためのハザードの依存関係の比較手法の提案について発表する.