Gタンパク質共役型受容体におけるゲノム上の遺伝子分布およびクラスター解析

押田 健寛 (0451031)


Gタンパク質共役型受容体(GPCR)はヒト、マウス、線虫などのゲノム上に 高密度に集積した遺伝子群を形成することが分かっている。 特に、嗅覚受容体やケモカイン受容体など、外部から化学物質を受容するタイプの ファミリーにこの傾向が見られる。

近年、この嗅覚受容体等のゲノム上のクラスター構造が自身の発現を制御している可能性が あることが示唆されている。 このクラスター構造を生物種間で比較することにより、発現制御メカニズムの 進化的な変遷を議論できる可能性がある。 しかしながら、このクラスター構造は、ヒトやマウス等のモデル生物種の一部で 確認されただけであり、その他の真核生物種においてはまだ調べられていない。

そこで本研究では、ゲノム配列解読済みの真核生物種を対象に、GPCR遺伝子および そのファミリーを同定し、ゲノム上にマッピングすることで、特定のファミリーの クラスター構造を解析する。 その結果、ヒトやマウス以外の哺乳類においても特徴のあるクラスター構造が見られた。 このことから、哺乳類では共通のクラスター構造によって発現が制御されている と考えることができる。