ギャップの大きなLDPC符号に対するRichardson符号化法の効率改善
尾澤 章弘 (0451030)
本発表では,LDPC (Low Density Parity Check, 低密度検査行列)符号の符号化計算量を削減する手法について述べる.
LDPC符号はシャノン限界に迫る高い誤り訂正能力を発揮する誤り訂正符号であり,次世代誤り訂正符号として精力的に研究が行われている.
LDPC符号の実用化に関してはいくつかの技術的課題が存在するが,LDPC符号に対する効率的な符号化操作の実現も重要な課題のひとつである.
LDPC 符号に対する符号化法としては,Richardson らによるアルゴリズムが良く知られている.Richardson 符号化法では,検査行列の疎な部分行列に対する演算を巧みに利用することで計算量の削減が図られているが,ギャップと呼ばれるパラメータが大きい場合,符号化の過程で出現する密行列 φ のサイズが大きくなり,結果として大きな計算量が必要となってしまう.
本発表では,行列φの選択に比較的大きな自由度がある点に着目し,φの逆行列演算が容易になるような検査行列の構成法 (置換法) について述べ,Richardson法の計算量を約10%削減できることを示す.