ドライバーの状態推定を目的とした心拍解析

小坂田 泰宏(0451029)


 近年交通事故における死亡者数は減少傾向にあるが、交通事故の件数全体は増加傾向にある。死亡者数が減少している原因としては,シートベルトの着用率の向上やエアーバック等の安全装置が効果を上げていると言われている。一方、交通事故の件数が増加している理由としては、ヒューマンエラーを原因とする交通事故が増えている事が指摘されている。このことから、これからの自動車の安全対策として、シートベルトの着用や安全装置の向上等とならんで、運転時のドライバーのヒューマンエラーの防止が課題となると考えられる。

 ヒューマンエラー防止の取り組みとしては、運転時のドライバー支援がある。ドライバー支援では、ドライバーの状態に応じた柔軟な支援が重要となるので、ドライバーの状態推定を行う必要がある。そこで本研究では、ドライバーの状態推定を目的として、運転時のドライバーの心拍と事故などの危険事象との関係について解析を行った。実験は、緊張状態に差をつけるために、運転中に計算課題を課した場合と、課さなかった場合の2種類を行った。心拍の統計解析では、計算課題ありの場合に計算課題なしの場合と比較して15人中15人で平均心拍数の上昇が見られた。心拍のFFT解析では、15人中10で計算課題ありの時に緊張していたことが分かった。心拍の時系列解析では、事故はリラックスした状態で、一時停止線無視・停止線オーバーは緊張状態で起こっていたという事が分かった。