プログラマの視線を用いたコードレビュー性能の要因分析

上野 秀剛 (0451019)


本研究の目的は,ソフトウェアレビューの1つであるコードレビューにおいて 人的要因がレビュー性能に与える影響を明らかにすることである.本研究ではレ ビュー対象物を精読する際の視線を計測するために,視線計測装置を含んだハー ドウェアコンポーネントと,ソフトウェアツール Crescent からなる統合環境を 構築した.この環境はレビュー作業者がソースコードのどの行を見ているかを時 系列に記録・再生できる.

構築した環境を用いて,コードレビュー時の視線とレビュー効率の関係を分析 するための実験を行った.その結果,作業者の視線に(1)レビュー開始時にコ ード全体を上から下に向かって眺める動作,(2)ある変数が初めて使われたと きに変数宣言部を確認する動作,(3)ある変数が現れたとき,変数が直前に使 用された行を確認する動作の3つのパターンがあることがわかった.また,レビ ュー開始時に(1)の動作を十分に行っていない被験者は,誤り検出までの時間 が長くなる傾向にあることが視線データの分析からわかった.