指揮法練習のためのバトンテクニックの定量的評価手法

今田 貴基(0451014)


指揮の役割は、演奏者一人一人の演奏をひとつのま とまった音楽へとまとめ上げることである。指揮者は、 演奏者にテンポやタイミングがわかりやすいよう身体 を動かすと同時に、自分の表現したい音楽が演奏者に 伝わるように身体を動かす。そして、演奏者の出す音 や顔の表情などから自分の表現したい音楽が伝わって いるのかを判断し、伝わっていなければきちんと伝わ るように工夫(より動作を強調するなど) する。

指揮とはオーケストラとコミュニケーションを取る ことでオーケストラを制御するテクニックであるから、 指揮のテクニックを上達させる最良の手段はオーケス トラで指揮をすることである。しかし、オーケストラは練習時において指揮者のためだけに時間を割くことはできないという事情がある。従って、指揮を習熟 するための手段として個人練習に比重が移ることとな る。しかし、個人練習には特に経験の未熟な初心者において自分の主観 による判断と実際のオーケストラでの指揮とのズレが 生じやすく練習の効率を妨げる要因となっている。 本研究の目的は指揮の運動の計測手法を提案するこ とと、計測データから指揮の巧拙を判断する定量的分 析手法を提案する。