紙文書への注釈入力・表示システム

池田 俊史 (0451007)


文書を閲覧する際に,紙面に注釈付けを行うことで文書はより読みやすく,理解しやすくなる. ペンなどで紙文書に注釈を付ける場合,その操作は破壊的なものになってしまう恐れがある. 電子化文書に対して閲覧や注釈付けを支援するシステムが提案されているが, これらを使用するには,あらかじめ文書を電子化しておくことが前提となっている. また,電子化文書は紙文書のようにめくるという操作が提供できず, 読みやすさにおいて紙文書に及ばない点がある. このように文書に注釈を付け閲覧することに関して, 紙文書,電子化文書双方の抱える問題点がある. 紙文書の読みやすさを保ちつつ, 電子化文書の機能を扱うことが可能なシステムがあれば, このような問題点を解決できると考える. そこで本研究では,紙文書に電子的な注釈入力や注釈の重畳表示を行うことで, 閲覧支援を行うシステム「電子書見台」を提案する. 提案システムは,カメラ,プロジェクタ及び先端部にLEDを装着したペン型の入力デバイスで構成される. カメラで取得した画像からLEDの位置を検出すると同時に,紙文書の位置と方向を推定し, プロジェクタで元の紙面に注釈を重畳表示する. また,提案システムは注釈を書き込んでいる文書がどの文書であるかを識別する機能も有している. 試作したシステムを用い,注釈入力,重畳表示,文書識別について検証し, 精度・性能を評価すると共に, 文書中で強調したい部分を円で囲む, 線を引く等の注釈を入力し, 重畳表示することが可能なことを確認した.