視覚情報提示方法のドライバ視線移動への影響

安藤 史朗 (0451006)


近年,市場に出始めているHead-Up Displayは,視線を自車の前方から あまり離さずに済むという点で安全性に優れた情報提示システムであると 考えられる.しかし,このHead-Up Displayに対しても運転の安全性低 下による危険性が示唆されている.

本研究は,Head-Up Displayと従来の情報提示機器である車室内に設置されてい る液晶ディスプレイを用いて視覚情報提示実験を行ない, ドライバの運転行動,視認行動,主観評価に関するデータを収集し, ディスプレイからの情報取得がドライバに与える 影響を検討することを目的としている.

一時停止交差点の進入という条件下での実験の結果,液晶ディスプレイ の場合は,Head-Up Displayの場合と比べてよりドライバが不安に感じたり, 何度も視線を前方とディスプレイの間を移動させる結果を得た. このことから液晶ディスプレイの方がドライバに視認による負荷が大きいことが 分かった.その原因として,ドライバはHead-Up Displayの場合ディスプレイを見ながら前方確認ができると 感じていることが分かった. しかし,Head-Up Displayがドライバの安全運転に影響を与えるような可能性を 示す結果も確認された.