微生物ゲノムにおける塩基組成偏倚の体系化

秋田 一(0451003)


DNAシークエンサー技術およびバイオインフォマティクスの発展に伴い、全塩基配列が決定 される微生物ゲノムは急激に数を増している。約300種類の微生物ゲノムが解読されたこと で、詳細な比較ゲノム解析ができ生物のゲノムレベルでの進化に関する議論が可能となって きた。微生物ゲノムのGC含量は、約 25%から70%まで広く分布している。 しかしながら、ゲノムレベルでの塩基組成の変化が進化の過程でどのようにして生じてきたかは、未だ不明な点が多い。 本研究では、微生物ゲノムにおけるGC含量、アミノ酸組成、tRNA遺伝子の構成、ゲノムサイズを比較した結果から、ゲノムのGC含量とアミノ酸の生合成コストの関係、tRNA遺伝子の増加のダイナミクス、さらにはtRNA遺伝子数とゲノムサイズの関係について考察し、ゲノムレベルの塩基組成の偏倚と進化さらには多様性獲得のダイナミクスについて議論する。