位相制御線状ダイバーシチアンテナを用いた地上波デジタルテレビ放送携帯受信機の特性改善

青木 匡志 (0451002)


2006年4月からは地上波デジタルテレビ放送の携帯端末向け放送がサービス開始予定となっている. 移動受信では, 固定受信に比べて伝搬路が時間的に変動するフェージングの影響が大きく受信レベルの低下による特性の劣化が問題となるため, 複数のアンテナブランチを用いて受信レベルの劣化を抑えるダイバーシチ技術が一般的に使用されている. しかし, 携帯端末では筐体のサイズやデザイン面での問題があり, アンテナ数を増やすことによる受信特性の向上には限界があると言える. そこで, ダイバーシチ機能を有し, 携帯端末のサイズやデザイン性を考慮に入れたダイバーシチアンテナを新たに提案する. ワンセグ放送では, 音声を聞くためにイヤホンを用いることが多いと思われるので, そのイヤホンをアンテナにすることを考える. アンテナ構成は, イヤホンコードに複数の線状アンテナブランチを直列に接続し, ブランチ間に位相反転素子とスイッチを挿入する.受信電力が高くなるよう位相を制御することでダイバーシチ効果が得られるようになっている. 本研究では, 携帯端末への適用を考えており, 小型化・低消費電力化が目的となっているため, ダイバーシチ受信法には, 2つのアンテナ状態からどちらか一方を選択し, 1台の受信機により受信する方法を取る. また, スイッチの切替方法は, OFDMシンボル毎に平均信号レベルを計算し, 平均受信レベルが高くなるようスイッチの切替えを行う方法をとっている. 本発表では、計算機シミュレーションによりレイリーフラットフェージング環境下と周波数選択性フェージング環境下の両方において, 提案方式の有効性を示す。