異なる感性メディア間での共同創作を支援するシステムの試作と応用

増山 大輔 (9851098)


近年のコンピュータ技術の急速な進歩により、誰でも映像や音声などのマルチメディアを容易に扱えるようになってきた。マルチメディアを用いて効果的に意思や気持ちを伝えるためのコミュニケーションを支援する技術も精力的に研究されている。しかしながら、音楽・身体表現・映像等のマルチメディアを駆使した感性豊かなイメージの表現は、芸術家など特殊技能を有した個々の専門家の感性に委ねられているのが現状である。マルチメディアコンテンツの創作において、従来、特定の専門家の創作を支援するシステムの研究は見うけられるが、異分野の専門家同士の共同創作を支援するシステムの研究は少ない。異分野の専門家同士の共同創作では、電子化された音楽や映像を蓄積し、それらの感性的要因を抽出し、創作や検索に適応することでイメージを効果的に他者に伝える技術が必要とされている。

本論文では、異なる感性メディア間での共同創作を支援するシステムを提案する。各専門家同士のコミュニケーションを助けるために、本システムは、視覚効果により音楽を捉えやすくするために、聴取用総譜、イメージ空間、図形、身体表現を使いイメージを記録する。また、このシステムの画像検索の機能を利用して、動画像を電子鍵盤楽器で操作する電子楽器を試作し、映像・ダンス・音楽のためのマルチメディアパフォーマンスの実証も行う。そして、自分が仮想世界に入っている様子を確認しながら、多彩な表現を演じることが出来るATRの「イメージ表現ルーム」とこのシステムを融合し、演奏家・ダンサーが自由に映像の印象を操作できる環境を作成したので報告する。