独立成分分析の概念を用いた未知入力システムの同定と制御系設計への応用

新田 益大 (0251202)


本論文では,多変量自己回帰モデルの未知入力同定法を提案する. システムへの入力信号が独立であるという仮定のもとで,独立成分分析を用いてシステム同定ができることを示し,未知入力システム同定アルゴリズムの提案を行う.

システム制御では,システムへの入力信号が不明確であるなどの理由により,観測信号のみからシステム同定を行いたいという要求がある. たとえば,計画した入力信号が,アクチュエータの飽和といった非線形特性により,必ずしもシステムへの入力と一致しない場合などである. 他方,システムには外乱が作用するため,システム同定をする際に影響を受け,正しい推定が得られないといった問題もある. 外乱の影響を評価するためには,外乱もシステムへの入力と見なし,外乱の伝達特性を調べることが重要である. しかし,外乱は未知であるから,入力信号が未知の場合のシステム同定問題となる. そういった観点から,入力が未知という状況下でもシステムの同定ができることは好ましい.

外乱は他の信号とは独立であるとして良い. そこで入力信号の独立性に着目し,音声信号処理などで用いられている独立成分分析の概念を用いたシステム同定法を提案する. 独立成分分析はよく知られるようにBSS(Blind Source Separation)を解く問題であり,伝達関数のようなBSD(Blind Source Deconvolution)には適用できない. そこで時系列展開によって固定要素を持つBSSに帰着させ,独立成分分析が適用できるように情報量の考え方を用いた算法を提案する.

提案手法の有効性を数値シミュレーションによって確認する. また,その応用として外乱検出を行い,同定結果を用いて外乱を抑制するH-infinity制御系を構築する. それにより,提案手法がH-infinity制御の重み関数の選定に有益であることを示す.