まず複合体の立体構造の代表セットを統計的に調査し、相互作用サイトにおけるアミノ酸出現頻度を計算したところ、相互作用サイトには疎水性や芳香族のアミノ酸が比較的多く含まれていることが分かった。この出現傾向の値を用いて、以下のような予測法を構築した。まず立体構造上近傍に位置する表面残基をパッチとしてグループ化し、そこに含まれるアミノ酸に対してその溶媒露出面積に応じて出現傾向値を加算したスコアを計算する。スコアが閾値を越えた残基を相互作用サイトとして予測する。
先行研究と同じデータセットで予測精度を評価した結果、相関係数は0.37程度で、よりシンプルな方法にもかかわらず同様の予測精度が得られた。また、ホモとヘテロ、ダイマーとマルチマーに分割して比較したところ、ヘテロダイマーの予測精度が比較的高いことが分かった。低い予測精度の構造を詳細に検討したところ、分子機能的な必然性から例外的な傾向を示していることが分かり、今後はこのような複合体にも適用できる手法を開発していく方針である。