シロイヌナズナにおけるトランスクリプトームおよびメタボローム情報の統合解析

新田 実 (0251150)


シロイヌナズナにおいて全ゲノム配列決定がなされ約27000個の遺伝子がコードされていることが解明された。ゲノム情報をもとに遺伝子発現に関する網羅解析が可能となった。また、種々の網羅解析が進み、トランスクリプトーム情報、プロテオーム情報、メタボローム情報などが蓄積しつつある。これらを統合して解析することにより、 生物全体を構築する遺伝子発現ネットワークを探り、細胞の全機能を明らかにすることが期待される。本研究では、メタボロームデータと発現データを統合解析することにより、シロイヌナズナの黄欠乏条件に焦点あてた5種の実験条件における葉と根の状態を遺伝子発現プロファイル(トランスクリプトームデータ)と代謝プロファイル(メタボロームデータ)を多変量解析により特徴づけることを検討した。約1000個の遺伝子と600個の代謝物質が解析の対象となった。これらのうち、56対の遺伝子と代謝物(全体で94個の遺伝子と36種の代謝物)において協調的な量的変化を得ることができた。発現プロファイルにもとづいた細胞の状態についても記述されている。