ヒトイントロンに寄生するプロセスされた偽遺伝子の解析

池田 紗由香 (0251136)


近年、プロセスされた偽遺伝子(peocessed pseudogenes;PPGs)が組織特異的に発現しているということが報告された。しかしながら、これらのPPGsの発現制御メカニズムについてはわかっていない。そこで我々は、組織特異的に発現している遺伝子(寄生先遺伝子)のイントロン領域に挿入されたPPGsの中には、寄生先遺伝子の発現機構の助けを借りて発現するものがあるという仮説を立てた。この仮説を確かめるために、我々はイントロン内に挿入されたPPGsを抽出し、親遺伝子配列との相異度、発現組織などの情報を収集し、寄生先移転しとPPGs親遺伝子との関連性を調べた。その結果、ヒトゲノム中に存在する全遺伝子のイントロン中には合計304このPPGsが存在することがわかった。またその中でORF(open reading frame)中にストップコドンが入っていないPPGsは85個あった。この85個のPPGsのうち、進化上で負の選択を受けてきたと考えられるものが30個存在した。我々はヒトイントロン内で進化の過程で負の選択をうけてきたPPGsを確認し、機能的な役割を担っていることを発見した。