バーチャルスタジオのための影の変形と合成
山本 雅樹 (0251128)
デジタル技術の発展に伴い,放送局では,CGで生成した仮想空間の映像に人
物の映像を合成するバーチャルスタジオによる番組制作が増えている.しかし,
天気予報など生放送番組に使用されるバーチャルスタジオは,仮想空間と人物を
実時間で合成しているが,人物の影付けは行われていないのが現状である.影付
けされていない合成映像は,人物が床から浮いたように見えるために違和感があ
る.そこで,人物の影が仮想空間の床に違和感なく提示されれば,現実感の高い
合成映像が制作できると考えられる.
本研究では,現実感の高い合成映像を制作するために,CGを用いた影モデル
ではなく実写の影を用いる.まず仮想空間の床に影を提示するために,撮影した
画像を人物画像と影画像に分離し,床の色に合わせて影を合成する.次に,仮想
物体上に影を提示するために,仮想物体の形状に合わせて影を変形させ合成する
手法について提案する.
提案手法を用いて合成映像生成実験を行なった結果,人物と仮想物体
が混在しているバーチャルスタジオにおいて有効な人物の影付けが可能となり,
現実感の高い合成映像が制作できた.