表情伝達を目的としたアバターチャットシステム
森永 英文 (0251123)
近年のネットワークインフラの急速な普及に伴い,電子メールや
チャットを利用した新しいコミュニケーションも広がりを見せている.
同時に,これらのコミュニケーションを円滑に行う事は,現代における重要な課題とな
ってきた.特に,リアルタイムにコミュニケーションを行う事ができるチャットシステムは,
意志疎通が容易であるが,相手の顔が見えない状況において文字や音声の抑揚だけでは
十分な情報を伝達できない.また,相手の顔を見るための映像の送信は,
プライバシーの保護といった点で問題が生じ,抵抗を感じる利用者も多いと考えられる.
そこで,このような現状を鑑み,本論文ではプライバシーを保護しつつ自然な表情を伝
達する手法を提案し,システムの構築と評価を行う.最初に,研究のアプローチとシステム
の概要について述べる.つぎに,表情計測部において,ユーザの表情を「怒り」「幸福」等
の決められたカテゴリに分類してそれを伝達するのではなく,ユーザの頭部・眼球・眉毛・口唇
の運動をそれぞれ計測し,それを3次元モデルに投影して正確に再現する手法を解説する.
さらに,この投影モデルであるアバターについて述べる.最後に,構築したアバターチャット
システムを用いた表情の再現性について実験と考察を行い,その有効性を示した.