極短パルスレーザー光による第二次高調波発生を利用した局所静電場計測

箕輪弘嗣 (0251119)


第二次高調波発生(Second Harmonic Generation:以下SHGに省略)は、高強度のレーザー光が物質に照射された時に2つの光子を吸収して、元の光子の2倍のエネルギーを持った光子を1つ放出する非線形光学現象である。発生する光強度が分子配向の状態に依存し、瞬間的なレーザー光の強度の2乗に比例する性質を持っている。

微小粒子を用いた電場計測技術は、神経細胞の活動電位を計測する手法として有効である。活動電位によって生じた膜電位は神経細胞の膜に電子的な配向を発生させるため、金粒子を神経細胞に付着させて超短パルスレーザーを照射すると、活動電位によって向上した配向を計測でき、活動電位の計測を行うことができると考える。このとき、神経細胞の分子配向は不規則なため、SHGは起こらないので金粒子を用いて観測を行う。金粒子は活動電位の電場強度を取得して、その強度を反映したSHG光を発生する役割を持つ。金粒子は分子配向がよく、高強度のSHG光を発生させるためにS/N比を向上させることができる。

本研究では、粒子から電場を計測するために、極短パルスレーザー光を粒子の照射してSHG光を発生させるスペクトロメータまたは光電子増倍管で検出する顕微鏡システムを開発した。直径80nmおよび150nmの金粒子に大して波長800nmの極短パルスレーザー光を照射してSHG光を発生させる成功した。さらに粒子に対して外部電場を印加するために金線を内包したマイクロピペットを2μm程度まで近づけて電圧を印加するとSHG光の強度がその周波数で変化することを確認した、また900nmの光を銀粒子に照射してもSHG光が発生することを確認した。