ウェアラブル拡張現実感システムのためのネットワーク共有型注釈情報データベース

牧田 孝嗣 (0251111)


近年,計算機の小型化,高性能化に伴い,コンピュータグラフィクスで描いた仮想物体を現実環境に 重畳表示することで現実環境に情報を付加することが可能な拡張現実感技術を ウェアラブルコンピュータ上で実現することが可能になってきた. これにより,任意の場所でユーザが見ている現実のシーンに注釈情報を直観的に提示することが可能な ウェアラブル拡張現実感システムが注目されている. このシステムを用いてユーザに注釈情報を提示するためには,計算機が注釈情報を保持しておく必要がある. 従来,注釈を表示する際には,ユーザが装着した計算機にあらかじめ注釈情報を保持していたため, 注釈情報の追加や更新が困難であるといった問題があった.

そこで本発表では,あらかじめ計算機に注釈情報を保持しておく必要がなく, 注釈情報の追加・更新が効率的に行えるウェアラブル拡張現実感システムのための注釈情報データベースを提案する. まず,ユーザが装着した計算機が無線ネットワークを介して通信可能なサーバにデータベースを保持することで注釈情報の共有を行う. これにより,注釈情報の提供者がサーバ上のデータベースを更新することで, 効率的に注釈情報の追加・更新が行える. また,ウェアラブルコンピュータの利用者は,常に最新の注釈情報をネットワークを介して獲得可能となる. なお,注釈情報の提供者は,webブラウザを利用することで,情報の追加・更新を容易に行うことができる. 実際に注釈情報データベースを構築し,注釈情報の提供者が情報の追加・更新が効率的に行えること, ユーザが装着したウェアラブル拡張現実感システムにおいて,注釈情報の獲得,及び重畳表示が行えることを実験を通じて確認した.