無線通信変復調LSI設計の際に高速処理として知られるC言語を設計手法として用 いると設計プロセス中にフィードバックが起こることで,設計効率が下がるという問 題がある. その原因としてアルゴリズム設計時にC言語ではハードウェア設計を意識 した機能レベルの並列記述が困難なことが挙げられる. そこで本論文ではハードウェア設計を考慮した機能レベルの並列記述を可能にする 設計支援環境を提案することを目的としており,その発表を行なう.
支援環境のユーザは各機能をコンポーネント化し, そのコンポーネントの付け替えでアルゴリズム検証を行なう. 提案支援環境ではコンポーネントの枠組みを用意し, コンポーネントを単位としたクロックで動作 させることにより並列記述を実現する. さらにコンポーネント化の効果と してプログラムの再利用を促進するという効果も図っている. 発表ではC++で開発したコンポーネントの枠組みとそのコンポーネント動作のア ルゴリズムを示す.
評価については これまでのC言語での設計手法と比べシミュレーション実行速度が同等に速く, また,MATLABと比べると支援環境のシミュレーション実行速度が大変速いことを示す.
この提案支援環境によって問題となっていた設計プロセス中のフィードバックを極力 無くすことが可能となり無線通信変復調LSI化の設計効率の向上が望める.