モバイルアドホックネットワークにおける チャネル切替えを用いた不公平問題解決手法 に関する研究

細野 明彦(0251109)


近年,IEEE802.11 DCF(Distributed Coordination Function)は無線LANで 広く普及していることや,自律分散型のネットワークを構築できることから, モバイルアドホックネットワークのためのメディアアクセス制御として注目さ れている.しかし,DCF方式をモバイルアドホックネットワーク環境下で用い た際,ある通信が別の通信を停止させ,致命的なスループット低下を引き起こ す問題(不公平問題)が報告されている.これは,キャリアセンスが正常に機 能しないことや,通信局が隣接局からの干渉波を受ける影響でRTS/CTS 交換が できないことが原因である.

本論文の目的は,不公平問題を解決することであり,停止した通信を別のチャ ネルに切替えて,通信再開を可能にするチャネル切替え方式を提案する. IEEE802.11aやIEEE802.11bでは,干渉することなく同時に使用できるチャネル 数は4チャネルある.本研究ではIEEE802.11bを想定し,この4チャネルを利用 してチャネル切替えを行う.切替え方法として,ランダム切替え,指定切替え, 改良指定切替え,ハイブリッド切替えを提案する.

NS2によるシミュレーションの結果,各切替え方法によって,不公平問題で停 止した通信を別のチャネルに切替えて再開できることを示した.また,各切替 え方法の性能評価を行った結果,不公平問題解決手法として指定切替え,改良 指定切替え,ハイブリッド切替えが有効であることを示した.