マイクロプロセッサ自己テストのためのコントローラ入力時相空間制約

帆足 尚孝 (0251106)


近年,プロセッサの急速な高集積化および大規模化により,従来の方式ではテストが次第に困難になっている.そこで,プロセッサのもつ命令を用いた自己テスト方式(Software-Based Self-Testing)が注目されている.この方式では,テストプログラムの実行によりプロセッサのテストを行うため,(1)プロセッサの実動作速度でテスト実行が可能である,(2)付加回路を必要としないため,ハードウェアオーバーヘッド・遅延オーバーヘッドがない,(3)高価な外部テスタを必要としないなど,従来のテスト方式より大きく優位性がある.

階層テスト生成に基づくテストプログラム生成では,プロセッサをモジュール分割し,モジュール単体に対するゲートレベルテスト生成と,命令レベルでモジュールに対するテスト系列の正当化,応答の伝播を行う命令列の生成を行う.命令列の実行によって,テスト系列をモジュールの入力に正当化するため,任意の値をモジュールの入力に正当化可能なわけではない.そこで,モジュール単体に対し,入力に正当化可能な値を制約としたテスト生成を行う.

入力に正当化可能な値空間のみを制約とした入力空間制約が過去に提案されている.コントローラなどの順序モジュールのテスト生成においては,順序ATPGを用いてテスト系列を生成するため,入力に正当化可能な値の系列を制約として考える必要がある.

本研究では,順序モジュールを対象として,入力に正当化可能な値の系列を制約とした入力時相空間制約を提案する。順序モジュールであるコントローラに対して、入力時相空間制約と入力空間制約の比較評価を行い,入力時相空間制約の必要性を示す.