行動選択ルールのスイッチング機構におけるイメージング研究

船越 英史(0251105)


生物は動的に変化する環境に対して柔軟に適応することができる。また、現実世界では取りうる行動の選択肢が非常に多く、そのすべてを吟味することが不可能な状況が考えられる。それにもかかわらず、生物は適切な行動を取れることが多い。このような生物特有のメカニズムはいまだ明らかにされていない。

本研究では実験タスクの行動空間を大きくし、その行動空間を部分空間に分割できるような階層構造を設けることで、効率的に探索できるようなタスクを考案した。ヒトがこのような構造を持つタスクを行っているときの脳活動を計測することで、部分空間を切り替える場合の上位レベルのルールスイッチと、部分空間に属するルールを切り替える下位レベルのルールスイッチとでは、脳活動に差が生じる結果が得られた。

本発表では、上位レベルのルールスイッチで活動した部位とエピソード記憶の想起に関係する部位が類似していることを示す。また、これまでに述べられてきたルールスイッチの部位と相同な活動が下位レベルのルールスイッチで活動することがしめされた。このことから、ヒトは探索空間が広大な場合適用するルール群を集約し階層的に取り扱うことで効率的な探索を行うことが示唆されたので報告する。