動的なサンプリング法の切り替えによる頑健な実時間視覚追跡

坂東誉司(0251096)


近年,ベイズ推定の近似計算手法であるパーティクルフィルタは,非ガウス性の 雑音が加算された時系列信号解析手法として様々な分野から注目を集めている. 実時間ビジョンにおいても非ガウス性雑音で汚れた実画像上での物体運動の予測 や推定を統計的に行うことの出来るパーティクルフィルタの応用研究が盛んになっ ている.

本研究では,実環境で用いることのできる視覚システムの構築を目標とし,パー ティクルフィルタによる視覚追跡において最も基本的なアルゴリズムである Condensationと,その問題点を改善したAuxiliary Particle Filterの正確さと 頑健性を実環境に特有な状況の下で再評価し,その二つを動的に切替えることで, 各アルゴリズムの長所を融合することができることを示す.また,この様に複雑 な環境においての視覚追跡に,追跡対象のモデルやダイナミクスモデルが大きな 影響を与えていることから,それらを改善する事でより頑健な実時間追跡を実現 し,いくつかの実験を通してその有効性を確認する.