動的なサーバ割り当て制御に用いる負荷予測機構に関する研究
西岡 宗一郎 (0251085)
複数のWebサーバでクラスタ化されたWebサイトを新規に構築する際は、あらかじめそのサイトに到来する可能性がある負荷の最大値を事前に見積もって、その見積りに従って割り当てるサーバ台数が決定されてきた。しかし、ピーク時に合わせて構築されたWebサイトではピーク時以外はサーバの処理能力の大半が無駄になるという問題があった。近年TCO (Total Cost of Ownership)の削減を行うために、IDC (Internet Data Center)が大企業等において積極的に利用されるようになってきた。IDCに収容されている複数のWebサイトでサーバを共有し負荷の変動に合わせて各Webサイトに割り当てるサーバ台数を動的に変化させるシステムの研究が行なわれている。しかし、既存のシステムでは現時点での負荷情報をもとに割り当てるサーバ台数を決定している。そのため制御に対する遅れを考慮する余り、余剰なサーバ割り当てが発生する問題がある。
本研究ではこの問題を解決するために、将来の負荷予測結果をもとに割り当てサーバ台数を決定し制御を行うシステムを開発した。将来の負荷変動を事前に察知することで、余裕をもった制御を行うことが可能となる。それによりサーバ割り当ての際に発生する余剰を抑えた、効率の良い割り当てが可能となる。本システムを用いて実環境で運用を行なった結果、従来システムに比べて余剰率で20%の削減が認められた。
この結果、本システムは実運用のレベルにおいて正常に動作し、余剰な割り当てが削減されることを明らかする。