リンクステート型プロトコルにおけるポリシに基づいたコスト決定アル
ゴリズムの提案と実装
夏山 京大(0251082)
Interior Gateway Protocol (IGP) におけるリンクコスト決定方法には Ciscoが
推奨するインタフェースの帯域の逆数を利用する事をはじめ, ト
ラフィックエンジニアリングを用いた手法等が提案されている. しかし, 現在ほとんどのネットワークにおいて, IGPのコスト
の決定はオペレータが自ら管理ネットワークのポリシを元に, 経験と思考錯誤に
よって決定している. そのため, ネットワーク構成が複雑になり, 決定するパラメー
タの量が増えるにつれ, コスト決定のための管理者に掛かる負担は無視できない. また,
管理者がポリシを元に決定したリンクコストが, 意図しない経路を通る事も少な
くない. そのような管理者のミスは, ネットワーク障害を誘発したり, 金銭的コスト
やネットワークの性能の低下など, 管理者の意図せぬ様々な弊害が生じる. そこで, 管理者がポリシを元に自分で各リンクコストを決定するのではなく,
管理者は''管理しているネットワークにおいてどのような要素を重要視している
か''というポリシを入力し, システムが管理者が入力したポリシを出来る限り満たすよう
なリンクコストを決定することにより, 管理者の設定時の人的コストを大きく削
減する事ができる. また, 管理者はネットワークの遅延, 帯域, 安定性か
ら管理者が重要と考える要素をポリシとして入力するのみである為, 複雑なネッ
トワーク構成においても, 管理者の設計ミスによるネットワーク障害の誘発を防ぐ事が
出来る. そこで, 本提案では Open Shortest Path First(OSPF) \cite{Moy} や
Intermediate System-Intermediate System (IS-IS) のようなIGPに
おけるリンクコストをポリシを元に決定する手法を提案し, 実装した. また, 実
験を行なう事により, 現在運用において主流である管理者の手作業によるリンク
コストの計算に比べ, システムを用いることにより設計に費やす時間や設計によ
り選択される経路がよりポリシを満たしている事を実証した.