複数の誤り制御手法による階層型ストリーミングの品質制御機構の提案と評価

長尾 寛行 (0251078)


インターネットを介した映像のリアルタイム配信サービスが提供されつつある. しかし,インターネット環境ではパケット損失やパケット遅延に起因する リアルタイム性や映像品質の問題は避けて通れない. このような映像配信サービスでは,高い映像品質とリアルタイム性が 要求される. そのため,パケット損失による映像品質の劣化を防ぐ目的で,階層符号化技術や 誤り制御技術が用いられる. しかしながら,これらの技術を用いることで品質を保証する代わりに, リアルタイム性を損なう恐れもある. まず,既存の誤り制御技術であるForward Error Correction(FEC)と Automatic Repeat reQuest(ARQ)の シミュレーションを行い,これらがリアルタイム性と信頼性に及ぼす影響を検証する. その後,これらの結果を踏まえ,リアルタイム性と信頼性を両立するために, ネットワーク遅延の状況に応じて FECと ARQを適用する手法を提案する. 提案方式のシミュレーション結果から,この方式が ARQよりもリアルタイム性に優れ,FECよりも信頼性に 優れることが検証できた. 今後は,提案方式を実際に構築し,シミュレーションでは予期しなかった問題を 検証することで,実ネットワークで運用できるシステムの構築を目指すことが課題となる.