ロボットアームに対するマスタ・スレーブ制御系の実装と検証

寺本英司 (0251074)


近年産業界においてロボットが重要な役割を果たすようになっている.また,ネットワーク技術の普及により,遠隔制御をネットワーク越しに行う研究が盛んになってきた.そのひとつとしてマスタ・スレーブシステムが挙げられる.

マスタ・スレーブシステムは,オペレータがマスタシステムを操作して,その動作指令をスレーブシステムに伝え,追従させるものである.そのためオペレータはより直接作業に近い感覚を得ることができる.

本発表では,マニピュレータに対するマスタ・スレーブシステムを開発する手法を示す.本研究では,オペレータがマスタアームに取り付けられたハンドルを持ちマスタシステムを操作する.その際に手先にかかる力データを力センサにより読み込む.その力データより各関節の目標角度,角速度,角加速度を求める手法,またマスタアームがその目標軌道を達成するために生ずべき各関節トルクを求める手法を述べる.スレーブアームはマスタシステムより送られた動作指令により,マスタアームに追従する.

しかしマスタ・スレーブシステムを用いて遠隔操作をする場合,スレーブシステムが作業対象物などに接触してマスタシステムに追従できなくなることが問題となる.そこで本研究では,スレーブシステムが作業対象物などに接触していない場合をFree Motion,接触している場合をConstrained Motionとして分けて設計している.LMIを用いたそのシステムの設計手順について述べる.

最後にロボットアームPA-10を用いてマスタ・スレーブシステムの実装を行った.その実験結果及びVTRを紹介する.