内容梗概 NAIST-IS-MT0251059: Misato takei

機械・制御系統合化設計アプローチに基づく操縦支援制御系の構成について

武井 美里(0251059)


現在、航空機や自動車をはじめとするビークルには操縦者の操作性の向上を図るために 様々な制御装置が介在しており、それらは一般に操縦支援制御系と呼ばれる。 本論文ではそのような操縦支援制御系の構成において新たなアプローチに 基づく構成方法を提案する。
自動制御分野において、従来機械系を先に設計し、その後制御系を設計する という手順がとられてきた。このような設計手順では、制御系の設計は機械系の構造に 制約され、必ずしも望ましい制御性能が得られるとは限らない。そこで、近年、機械 系に制御器を付加することを前提とし、制御系と同時に機械系を設計し システム全体の制御性能の向上を図る統合化設計と呼ばれる手法が提案されている。 しかしこの機械系と制御系の同時に設計する統合化設計問題は効率よく解けない困難 な問題であることが知られている。そのため岩崎らは、先に機械系を設計し、 その後制御系を設計しても制御性能が向上するような、設計の分離を目指す新たな 統合化設計法を提案している。
岩崎らは、機械系の,、位相特性と関係の深い 同相性および正実性に着目し、機械系が制御系設計の観点からみて好ましい性質を持つ よう機械系の構造パラメータを決定する方法を提案している。
本研究において、ビークルを操縦する人間を一種の制御装置とみなすと、ビークルを 機械系、人間を制御系に置き換えることでビークルの制御と機械・制御系統合化設計 の間に対応関係を考えることができる。
そこで、本研究では、人間がビークルを操作したときに操作性の向上を図るために 機械・制御系統合化設計のアイディアに基づいて ビークルの位相に着目し、ビークルの位相特性を改善する。 このとき統合化設計のように機械系の構造パラメータを 設計するのではなくビークルにコントローラを付加し、操縦支援制御系を構成する ことにより移送特性の改善を行う。
また、航空機の操縦性を測る目安となるパイロットレイティングの解析を 行っているNeal-smithの研究をもとに提案手法との関連について解析を行った。 その解析によって得られた結果をもとにγー正実性の概念位基づく位相整形手法 を用いて位相特性の改善するような操縦支援制御系の具体的な設計方法を示す。