連接現象を介した HPSG に基づく助詞分析

高橋 慶 (0251057)


近年大規模コーパスの普及により、統計による構文解析が発達してお り、良い精度をあげている。しかし、その一方で統計手法のみを使うことにより 言語特有の性質や、意味的曖昧性、コーパス中には現れないような特徴的なな言 語現象について分析することが難しい。一方言語理論として個別に説明を試みて いるものの、計算機上で扱うのは難しいものもある。特に日本語についてはその 言語表現が豊かであり、語彙によって振舞いも様々である。また、機能語についての緻密な記述はまだ本格的に行なわれていないと考えられる。本稿では、統語解析における文法研究の必要性をはじめに述べ、統語解析器で動かすことのできる文法開発を目標とする。そして、日本語の中でも種類が多く、また、様々な振舞い方をする助詞、特に格助詞、副助詞に焦点をあて、それらの品詞において最も特徴が良く表れる「連接」と言う現象を扱い、その特徴を捉えることを通して、この現象に対し、説明を与えるようなメカニズムを提案し、語彙の記述の拡張を試みる。