消費電力を考慮した 連続可検査性に基づくシステムオンチップの 面積オーバヘッドとテスト実行時間の 相互最適化に関する研究

高桑寿一 (0251055)


SoCを可検査とするためには,テスト系列をテストパタン発生器から各コアお よびインターコネクトへ伝搬し,その応答をテスト応答解析器へと伝搬する必要 がある. これをテストアクセスと呼ぶ. テストアクセスを実現するためには各コアおよびインターコネクトに対するテス トアクセス機構(TAM)の設計が不可欠である. またSoCの各コアに対するテスト系列長は長く,SoCのテスト実行には膨大な時 間が必要となるので,テスト実行時間を短縮するテストスケジュールの生成も重 要である. さらにテスト実行時の消費電力は通常動作時よりも大きく,消費電力を考 慮したTAMの設計およびテストスケジュールの生成が必要となる.

本発表では,スキャン設計されたコア,非スキャン設計されたコア,IEEE P1500に準拠したコアおよび組み込み自己テスト可能なコアを含むSoCを対象 とし,面積オーバヘッドとテスト実行時間に対して相互最適化された連続可検査 なSoCを消費電力制約下で実現するテスト容易化設計法を提案する. 提案手法では,面積オーバヘッドとテスト実行時間に対する重要度が与えられ, その与えられた重要度に適したTAMとテストスケジュールをヒューリスティック アルゴリズムを用いることにより短い計算時間で生成する. また,連続テストアクセスを可能とするためにテストバスに加えて,既存のイン ターコネクト,およびコアの連続透明性を用いることで低面積オーバヘッドでTAMを実 現可能である. 評価実験では,消費電力制約を無しとした1つのSoCと消費電力制約を与えた4つ のSoCに対し,提案手法を適用した. 消費電力制約を無しとしたSoCに対して,代表的なテストアクセス方式であるテ ストバス方式を用いた手法,およびコアの連続透明性を用いた従来法をそれぞれ 適用した結果と,提案手法を適用した結果を比較することにより,提案手法の有 効性を示す. また,提案手法が消費電力制約を持つSoCに対しても有効であることを実験によ り示す.