従来,ゲーム空間を均等に分割し,分割されてできた複数の領域を,固定数のサーバに対応させる方式や,P2P環境で幾つかのプレイヤの端末に割り当て処理する方法が提案されている.しかし,これら従来の方法をP2P環境にそのまま適用した場合,ある領域のプレイヤ数およびそこで発生するイベントの数が多くなると,その領域を担当するノードに過度の負荷を強いることになり適当でない.また,P2P環境では,各ノードがゲームから離脱したときの対処法についても考慮する必要がある.
本研究では,均等分割した各領域のプレイヤ数とそこで発生する単位時間あたりのイベントの数を監視し,それがある閾値を越えた時には,領域内のプレイヤの集合を部分集合に動的に分割し,新たに割り当てたノードに担当させることにより,各ノードの負荷を一定水準以内に抑える.また,イベント通知の配送のためのオーバレイネットワークの構築と中間ノードが離脱した時の回復機構について述べる.実験により本研究で提案する方式がネットワークゲームに適用できることが確かめられた.