印刷文書に対するタイムスタンプシステムの設計と試作

久保雅洋 (0251035)


メディアが多様化した今日の社会でも,印刷文書は 記録や証明などに欠かすことのできない媒体である. その反面,印刷文書に対する偽造,改竄,複製等の不正は, 長年にわたり社会的な問題となってきた.これまでも様々な 不正防止技術が開発されてきたが,導入コストや技術的な問題から, 必ずしも有効であるとは言えない.

一方,電子データについては,容易に偽造,改竄が可能なため,その検出および防止を目的として,様々なセキュリティ技術が研究,実用化されている. 中でも,デジタルタイムスタンプは, データの安全性と信用確保のための技術として注目されている.

本研究では,タイムスタンプを印刷文書に適用し,印刷 文書に対して存在証明,完全性証明を可能とするシステムを提案する. タイムスタンププロトコルには様々な方式が考案されているが, 提案方式では,長期間の保存が目的とされる印刷文書にも適用できるよう, 有効期限を設けないプロトコルを採用し,現実的なサービスを提供する. また,ユーザが簡単に印刷物へのタイムスタンプを得ることができるよう, Webや2次元バーコード等の汎用技術を利用してシステムを構築した.