スティックと楕円の統合モデルによる外見特徴の少ない非剛体追跡法

北島 利浩 (0251033)


追跡手法として、各瞬間における対象追跡結果を確率的に表現する手法が近年 注目を集めている。 しかし、従来の手法は対象のテクス チャ、色、形状などの外見的特徴の検出結果に強く依存しており,そのよう な外見的特徴が少ない物体に対しては適用できない。また、同様の手法により 対象の位置、領域だけでなく詳細な姿勢も推定する研究も行われているが、 多くの従来法では追跡対象の剛体性が仮定されており、非剛体(骨格は存在 するが、関節の位置が明確にはわからない物体とする)の姿勢までは推定で きない。

本研究では、追跡対象のサンプル画像集合から、対象の骨格線を表すスティッ クモデルと対象の領域を表す楕円モデルを統合した対象モデルを自動的 に作成し、そのモデルを用いて追跡を行う手法を提案する。 この対象モデルは一対象の領域を複数部位の連結集合として表 現しているので、非剛体の 姿勢変化に対応でき、さらに各部位の検出信頼性を評価しているので外見的 特徴が少ない物体に対して適用した際にも致命的な推定失敗が起こりにくい。

提案手法の有効性を示すために、外見的特徴の少ない非剛体として金魚を選 んで評価実験を行った。実験では、まず金魚のサンプル画像集合から対象モ デルを自動的に作成し、複数の金魚による遮蔽が発生する環境下での有効性 を確認した。