室内伝搬環境におけるMIMO通信路容量の光学伝搬モデルに基づく評価

川口 徹 (0251029)


現在無線LAN規格として100Mbpsのスループットを目指すIEEE802.11nが策定中であり, この規格には,IEEE802.11aで用いられている OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式に MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術を合わせた MIMO-OFDM方式が検討されている.

MIMOは異なるデータストリームを送受信機それぞれが複数のアンテナで 同じ帯域において同時に並列伝送することで 周波数利用効率を上げ,通信路容量を上げるものである. このMIMO技術は並列伝送した信号を分離する必要があり, そのためには``マルチパスリッチ''な環境が必要となっている. しかし,送受信機が互いに見通せる同一室内環境においては, その見通し波がマルチパスに比べ非常に強く支配的になる. その結果, 十分なマルチパス効果を得られない可能性がある.

今回の発表では,このような同一室内環境におけるMIMO通信路容量を 計算機シミュレーションにより調べた結果を SISO(Single-Input Single-Output)の場合と比較し, MIMOの通信路容量改善効果がおよそ180%程度あることを示す. また,送受信機アンテナを一直線上に配置すると 最も改善効果が得られないことを述べる.