移動ロボットにおける環境同定のための統計的アプローチ

金本 勝吉 (0251027)


移動ロボットを統計的手法に基づいて制御する状況では,状態遷移や観測過程に関する確率モデルが必要不可欠である.一方,外部からの観測情報を利用すると比較的簡単にこれらの確率モデルを獲得することができるが,コストが増すばかりでなく,適応範囲が狭まる. 本研究では,ロボットセンサによって獲得される観測時系列情報から状態遷移や観測の特性を同定する手法を提案する.提案手法ではまず,環境の幾何学特性やセンサの非線形性を考慮して,動径基底関数ネットワークを利用したパラメトリックな確率モデルとして環境が定式化される. そして,未知パラメータは最尤推定法に基づいて決定される.また,効率よく最尤推定量を求めるために,EMアルゴリズムとパーティクルフィルタアルゴリズムを利用した未知パラメータ同定法についても提案する. 提案手法の性能を調べるために,人工データと実データを用いて評価実験を行った. その結果として,本手法は外部からの観測情報を利用しなくてもロボットセンサの情報のみから良い精度で環境を同定できることが示された.