遠隔授業における共同レポート作成のための議論支援システムの実装と評価

太田政宏 (0251021)


近年のインターネットの普及によって、インターネットの双方向性を利用した遠 隔教育が現実的なものとなり、インターネット上での協調型学習への取り組みが 試みられている。 協調学習とは、学生間の議論を主体とする学習スタイルで、学習過程での学生間 の議論が教育効果に対して重要な役割を果たす。このとき、学生グループには課 題が与えられ、学生間での議論を通じて課題に対する共同レポートを作成する。 インターネット上での議論は、Web掲示板、メーリングリスト、IRCなどのコミュ ニケーションメディアを利用することで可能となる。 しかし、これらのコミュニケーションメディアを利用した議論は、対面による議 論と異なり、議論の継続や、合意形成が困難ということが知られている。 この問題は、協調学習の議論に対しても悪影響を与え、インターネットを利用し た協調学習では問題となる。 そこで、WIDEプロジェクト SOI(School Of Internet)と奈良先端科学技術大学院 大学との協調学習において授業実験を行い、 こうした問題が、既存のコミュニケーションメディアが議論構造の情報を保持し ないこと、議論構造とは独立したメッセージの連鎖構造を持つことから引き起こ されることを示した。 この結果から、 議論における各発言間の関係や発言意図を記録し、議論の再読性や可読性を向上 させ、グループ内での円滑な議論を支援する議論支援システムを提案、実装する。 本システムによって、議論参加者にとって議論構造の明確化や、議論内容の追跡 が可能となる。 この提案システムを授業で運用し、こうした議論支援の有用性を評価した。その 結果、このような議論支援の有効性を確認した。