画像処理による高速道路合流部における進入支援

森田 顕司 (0151109)


自動車交通は他の交通機関に比べて,ドア・ツー・ドアの移動が可能であり,行動の自由性が高いなどさまざまな利点がある. 一方で,自動車を利用することによって,交通事故や渋滞,排気ガスや騒音など環境に与える影響が大きいなどの問題も発生している. これらの問題を解決すべく,様々な機関で研究されているのが,ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)である.

ITSは大きく分けて9つの分野で構成されており,9つの分野の中に「安全運転の支援」があり,本研究はこの分野に属するものである.

運転支援を行う場面としていくつか考えられるが,本研究では,高速道路の 合流部においてドライバーが安全に進入できるシステムの構築を目指す. 合流部支援 においては車両間通信が主流となっている. しかし,セルラーシステムのように固定された基地局に依存した通信制御が困難であり,通信すべき車両の特定が困難であるなどの点から,実用化の段階ではない. そこで本研究では,サイドミラー付近に取り付けた車載単眼カメラから得られた後方画像から,画像処理により道路情報を取得し,その情報をもとに,ドライバーに進入の支援情報を提示する.

本論文では,後方車両の位置・速度情報をを獲得するための白線検出手法・車両検出手法を提案するとともに進入における危険度判定基準を設定し,その判定基準をもとに加速レーンを走行する車両が安全に進入できるかどうかの判断を下すシステムについて述べる.

提案手法により,道路の継ぎ目や車両の影などの影響を抑えた車両検出が可能となった.また,ソフトウェアでも高速な処理が行えるように,画像処理を行う領域を限定することで計算量の削減を図った.

実験においては,白線と車両の検出精度を算出し,提案手法の有効性を示した. また,オンライン処理を行い,システムの情報提示によりドライバーが安全に進入できるかの確認を行った.

最後に,実験において仮定した条件とその考察について述べる. 今後はあらゆる環境に適応できるシステムを構築するための手法を確立ことが課題となる.