カスケード型モデルによる論理思考状態推定

星 一平 (0151093)


近年の情報処理技術の進歩により, システムの自動化,多機能化が拡大する一方で, システムの大規模化,複雑化により, 人間にかかる負担が非常に大きくなってきている. このような状況でシステムが異常をきたした際に, 適切な対処ができず事故や災害につながる恐れがあるなど, 安全性や信頼性の面で様々な問題が生じている. このような問題に対し, 人間と機械の接点となるマンマシンインタフェースの最適な設計や, 人間を支援するシステムの開発による解決が期待されている. 人間を支援するシステムを構築する際に, 人間の論理的な思考状態を正確に推定することが可能になれば, 効果的な支援システムの構築が可能になると考えられる. そこで本研究では, 多種類の生理信号を用いて人間の論理的な思考状態を推定するモデルの検証と, モデルの簡略化の方法の検討を行なう.

第1に, 多種類の生理信号を併用する思考状態推定モデルの有効性を検証した. まず思考状態の基本モードを定義し, 心電,瞬目,呼吸の生理活動データを併用して人間の各モードを推定する方法を, 検証実験データを用いて検証と考察を行った. この結果,それぞれの生理信号を単独で用いた思考状態推定モデルに比べ, 3種類の生理データを併用した生理信号モデルが 日変動の影響を抑え安定して高い精度で思考状態の推定ができることを確認した.

第2に, 実験日毎のモデル構築の手間を削減する方法の検討を行った. 推定するモードを限定した簡略モデルを構築することにより, 限定したモードの推定精度を維持しながら モデル構築の手間を大きく削減することが可能であるという結論を得た. そこで,簡略モデルの構築方法と,簡略型の実験方法を提案した.

最後に, 実験データを用いて簡略モデルの検証を行い,提案手法の有効性を確認した.

本発表では、初めに多種生理信号を併用するモデルの構築方法と評価結果について示す。 次に、モデルの簡略化方法とその有効性を示す。