Webサーバファームにおけるスタンバイ状態を導入した動的なサーバ割り当て制御に関する研究
藤部 修平 (0151092)
複数のWebサーバでクラスタ化されたWebサイトを
新規に構築する際には、あらかじめそのサイトに到来するであろう
負荷の最大値を事前に予測し、予測にしたがってクラスタサイズが決定されてきた。
しかし、ピークに合わせて構築されたWebサイトは
ピーク時以外にはサーバの処理能力の大半が無駄になるという問題があった。
この問題を解決するため、複数のWebサイトでサーバを共有し
負荷の変動に合わせて各Webサイトに割り当てるサーバ台数を動的に変化させる
システムの研究が行なわれている。
しかし、既存のシステムはサーバ台数を変化させる際、
サーバの持つコンテンツの入れ替え処理に時間を要し、
サーバ追加時間が数十秒以上と長いことが問題であった。
サーバ追加時間が長いと急激な負荷の変動に対応できず、
かえってシステムを危険な状態に陥れる恐れがある。
本研究ではこの問題を解決するため、サーバ追加処理を迅速に行う新しい負荷分散
システムを開発した。
サーバ追加時間の短縮は、負荷の急激な変動に対するシステムの柔軟性を高めることができる。
本システムでは各サーバのコンテンツ保持にキャッシュを用い、
積極的にコンテンツの供給を行う。
この際、コンテンツの供給のみを行い、
あらかじめ次の追加に備えてコンテンツを充填する''スタンバイ状態''を導入し、
コンテンツ切り替え処理と負荷分散装置の制御を並列に行うことで、
サーバ追加処理時間を大幅に削減した。
本システムの新規性はサーバ追加時間短縮のためにあらかじめコンテンツを充填させる
スタンバイ状態を設けたところにある。
本システムのサーバ追加処理時間は200ミリ秒程度と
既存のシステムに比べても非常に短い。
この結果、本システムは実環境のような不規則かつ急激な負荷の変動に対しても
柔軟に対応し、各サイトを安定して運用すること可能なことを明らかにした。