表面反射特性の推定による仮想化環境の対話的な照明シミュレーションに関する研究

福冨 弘敦 (0151089)


近年,仮想環境と現実環境を融合する複合現実感やコンピュータグラフィックスの分野において,現実環境を忠実に仮想化し,計算機上で照明の位置や明るさなどを操作して,照明による影響を仮想的に表現する研究が行われている. これらの研究は,写実性を重視する研究と実時間対話性を重視する研究に大別できる.前者の研究では,現実環境を忠実に表現するために光の相互反射を考慮に入れ,さらに物体の反射特性に関しても拡散反射成分や鏡面反射成分など様々な反射特性に対応している.後者の研究においても光の相互反射を考慮に入れているが,環境内の反射は拡散反射に限定しており,視点や光源の位置に依存する鏡面反射成分を含む環境では対話的に照明条件を操作することは困難であった. そこで本論文では鏡面反射成分を含む環境に対して,それを忠実に仮想化し,対話的に照明条件を操作することができる照明シミュレーション手法を提案する.まず,現実環境の仮想化に必要な幾何形状は3次元形状計測装置を用いて取得する.次に,現実環境の幾何形状と実写画像から環境内の拡散反射係数と鏡面反射係数および表面粗さ係数の推定を行う.そして,推定された反射係数を用いて現実環境の仮想化を行う.その際,環境内の拡散反射成分に関しては従来研究と同様に光の相互反射を考慮してレンダリングを行うが,鏡面反射成分に関しては1次反射のみを考慮したTorrance-Sparrowの反射モデルに基づいてレンダリングを行う.これにより,鏡面反射物体を含む環境において対話的に照明条件を操作することを可能とする.実験では,推定された反射係数の評価と現実環境を仮想化した環境における照明操作の評価および結果を示す.