空中署名動作の特徴抽出による個人認証システムの試作

広木 誠 (0151087)


近年電子情報機器のネットワーク化に伴う電子化社会の発達により、セキュリティーの観点のみならずプライバシー保護の観点からも個人認証に対する関心が益々高まっている。現在、個人認証において注目されているのが指紋や顔といった人間が生まれながらに持った特徴であるバイオメトリクスを用いた方法である。バイオメトリクスには高い個人特異性があり、個人認証においては有用であるように思われる。しかしながら、一度複製・改竄されると二度と利用できなくなるといった大きな問題点も存在する。

そこで本論文では、利用者が空間中でカメラに向かって署名を行う“空中署名”動作における特徴量を抽出する事で個人認証を行うシステムの構築を試みる。システムは登録者の署名パターンに含まれる特徴を抽出できるので、ある登録者の署名パターンが他人に盗み見られても、署名パターンを変更する事で何度でも利用できるといった利点がある。

3次元空間中で指による署名を行う本システムでは平面上での署名と異なり、またペン先発光ペンのような特別な入力デバイスを用いないため、空筆部も一つのストロークとして認識されてしまう。よって、同一ストロークにおける指先や手領域重心の移動量や署名時間といった個々の署名の特徴を示す属性値の比較が困難となる。そこで、署名パターンのストロークをフレーム間の移動偏角成分で分割し、特徴抽出する。これにより、認証対象を入力署名の状態を表す特徴コードと辞書内で特徴コードが類似する署名のみに絞り込む事が可能になり、認証率の向上が期待できる。

評価実験として被験者が自身の署名を行った時の認証率(自己認識率)と他人が本人以外の署名を行った時の排除率(他人排除率)を算出する。 paragraph delimiter