概念設計分析における設計情報の構造化を支援する漸次的構造化手法の提案

平山 貴浩 (0151086)


 製品設計初期段階での設計者の設計思考プロセスを分析するための1つの方法として,製品設計初期段階で行われる設計議論で創出される発話を対象に,設計解の詳細化プロセスを表現したモデルに従い構造化するというプロトコル分析の1方法がある.ここで,モデルの構造に基づいた設計者の設計思考プロセスは,設計議論全体のコンテクストを考慮して初めて理解されるもので,構造化初期段階から容易に捉えきれるものではない.従って,システム上で設計議論を対象にモデルに従いダイレクトに構造化することは,対象となる情報の構造が必ずしも明確に意識されていないにも関わらずシステムが規定するモデルの構造に基づいた表現を行うよう強制してしまうという側面を持っている.

 本研究は,システム上で設計議論の構造化を効果的に行うことを目的に,システム上でのモデルの構造に基づいた設計者の設計思考プロセスの思索,把握を伴う構造化を体系的に支援するための枠組みとして,2次元平面内のオブジェクトの視覚的配置を利用した「漸次的構造化手法」の提案を行うものである.そして,提案した「漸次的構造化手法」に基づいた構造化支援システムを構築し,利用観察実験を行うことにより,提案した方法論の有効性を検証する.