XML文書に対するアクセシビリティ・ガイドライン適合性検証
中村 岳志 (0151078)
近年,World Wide Web (ウェブ)は,一般の人々の主要な情報入手手段となっている.
これに伴い,ウェブにおけるアクセシビリティ,
すなわち身体能力や利用環境などの差異に関わらず,
より多くの人がウェブ上の情報を利用できるようにすることの重要性が広く認識されつつある.
World Wide Web Consortium (W3C)によって定められた
Web Content Accessibility Guidelines (WCAG)を始めとして,
アクセシブルなウェブ・コンテンツを作成するための要件を述べた書籍
やガイドラインが多数存在し,また,作成したウェブ・コンテンツが
特定のガイドラインを満たすか否かを検証するツールが提供されている.
HTML文書がWCAGに適合しているか否かを検証するためのツールとしてBobbyがよく知られている.
本研究では,ガイドラインを記述するための簡明な言語を提案し,
既存の検証ツールに比べ以下のような特長をもつ新しい検証ツールの開発を行った.
- ガイドラインは記述言語により検証系に与えるので,特定のガイドラインに限らず,任意のガイドラインに関する検証が行える.
- 任意のXML文書を検証対象にできる.
- 比較的複雑な構文チェックなど,アクセシビリティの検証以外にも利用できる.
本発表では,ガイドライン記述言語の定義,および検証ツールの実装について述べる.
また,本ツールを現実のウェブ・ページ(日米の主要40機関の約3000ページ)に対して
適用した実験の結果についても述べる.