本研究の目的は,このような不確定性のあるパラメータを有する系に対し,軌道追従性を保証するために適応制御器を設計し、ロボットの滑らかな動作を実現することである.発表ではまず,研究室で保有するロボットアームの摩擦現象を示す.その摩擦力に対するモデルとして,静的なLIP摩擦(linear-in-parameters)モデルを用い,これをロボットアームのダイナミクスに導入する.さらにモデル化誤差に対する動的補償を含んだ適応則を設計する.また,このシステムが安定となることを示す.安定性はロボットダイナミクスの非線形項の中に現れる歪対称性行列を鍵として,リアプノフ関数を用いて証明できる.最後に設計した適応追従制御則の実装について,関節速度を得るための厳密微分器と具体的な制御則を示し,実験結果より有効性を確認する.